石の嫁ぎ先

年代別にもどる 地域別にもどる

西大寺ポケットパーク

 読者の方から「遠くへ嫁いだ石の話もいいが西大寺には犬島の石は無いの?」とお話があり、早速西大寺中2丁目にある西大寺文化資料館に行きました。青江文次先生が生前「文化資料館には立派な石が使われている。あれは犬島石じゃないかな」とおっしゃっていたのを思い出したからです。
 先生は西大寺愛郷会ならびに文化資料館の事を中心となり運営しておられましたが、平成12年7月、急に帰らぬ人となってしまいました。
 それから1年7ヶ月西大寺文化資料館の扉は閉じたままになっておりましたが、新しく中村美佐雄氏が資料館の館長となり、みんなで力を合わせて文化資料館を盛り立て、開館しています。
 資料館の中には江戸時代の会陽の宝木や天保年間に改修した床材、商屋の看板、のれん、薬屋の百味タンス、そろばん、銭入れ、千両箱、お菓子の型、切り絵図、古文書等2000点以上の物が集められています。衣装蔵だったといわれる蔵の土台は花こう岩で高くきっちりと組み立てられ湿気も少なくとても立派な物です。
 蔵を支えている石は、犬島石に良く似ていますが、雲母と石英の割合が違うようで犬島石と断定できませんでした。がっかりした心を抑えて資料館の外に出て小川を渡ると、そこには可愛い公園があります。公園内には裸祭りの銅のモニュメントや石の腰掛けなどが並んでいます。良くみると犬島石じゃありませんか。犬島石の腰掛けと万成石の石柱が交互に配置されています。
 ここはポケットパークと呼ばれる小公園です。岡山市へ問い合わせたところ平成8年10月に犬島石を使い完工したとの事です。犬島石は大きな工事の基礎に使われる事が多く、大量の石が必要な大阪方面へ船の便を利用して運ばれ、西大寺等で使われる事が少なかったと考えられます。
 白い石に赤いさび石が模様のように入った犬島石独特の温かさの伝わる石が身近な場所で郷土の皆さまにかわいがられる事を願って、寒い時ポケットの中へ手を入れてほっと安らげるような公園を後にしました。

犬島石の腰掛けと万成石の石柱

Map

 

年代別にもどる 地域別にもどる