石の嫁ぎ先

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高の原駅舎の石組み「みんなのふれあい広場」

 「近鉄の高の原駅に犬島の石がぎょうさん使われてるで」と東田石材の菊井さんより情報を頂いたので訪ねてみました。駅に降り階段を下ってどこなのかなと見回してびっくり。あるわ、あるわ、ここにもあっちにも、広い場所にいっぱい使ってあるのです。道路を隔てた橋の向こうにもぎっしりです。基礎石はもちろんの事、階段、駅舎に一目見て犬島産の石と解る白い石と赤いさび石が無造作に横を向いたり縦に並んだりと、島の石塀がそろってお引っ越しをしたように並んでいるのです。私を見ると石塀たちは「ようこそ待っていましたよ」というように太陽の光を受け一斉にキラキラと輝きはじめました。
 ここは関西学研都市として昭和45、6年ごろから開発が始まり工事が進められました。昭和47年に近鉄高の原駅が開通し仮駅舎としてスタートし昭和61年10月に完成しております。
 駅の完成と平行して住宅も次々と建築されました。大阪方面へ通勤する人たちにとっては最高の住宅地となりました。私も10数年前まだマンション生活を知らないころ友人の招待を受けお伺いしました。エレベーターはあっという間に着き、玄関を入ると広い洋間がありステキなキッチンで都会の生活って豪華でおしゃれでこんなに便利なものかと圧倒されたものでした。そのころの私は石の行方の勉強をしていなかったものですから駅の石を見ていなかったのです。
 駅と道路をつないでいる橋を歩いてみました。「ふれあい橋」と命名されている橋の中央に犬島産の石で碑が立っていました。昭和60年10月と刻まれています。橋の下をのぞくと石の階段を野外劇場代わりに若者たちが多数集まってギターを奏でたり歌を歌ってにぎやかにコンサートが行われていました。まさにみんなのふれあい広場になっているのに感動! 新興住宅地なので、この広場でデートの待ち合わせをして恋が実ったりとか、待ちぼうけで涙を流したりと皆さんのコミュニケーションの場になっていることを確認。いつまでもこの石をみんなのやさしい心で温め愛され続けていることに感動して高の原駅においとましました。

写真 「みんなのふれあい広場」
「みんなのふれあい広場」

Map
マップ 高の原駅前広場

 

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