石の嫁ぎ先

年代別にもどる 地域別にもどる

石の風車 「風化した堂々たる風情」

  「どんな石の風車が回っているのかしら」大きな期待に胸をときめかし、岡山駅から高知行き特急南風1号に乗り込みました。列車の外の大歩危、小歩危の景色を楽しむ間もなく、おしゃべりに花を咲かせていたら、2時間半の旅は終わり土佐山田駅へ着きました。
  駅から少し歩くと、静かな通りに入り石の灯ろうがずっと並んでいます。鳥居をくぐると八王寺宮の並びの土佐山田町立美術館の正門わきに石の風車があります。美術館の1階は町立の地域福祉センターで平成6年に建設され、多くの利用者でにぎわっています。
  風車の台石は、犬島の丁場跡の池の中にあったものを運んできたもので、風化した石の面は堂々たる風情があります。ここで使われていなかったらいつまでも池の中に沈んでいて日の目を見る事がなかったかもしれません。そう考えるといとおしさがこみ上げて来て「良かったね」と石を見上げてつぶやきました。でっかいトーストのような形の2個の自然石に13個のかわいい風車がチョウが止まってるように配置されています。石の重さは25トンはあると聞きました。
  日本で初めて京都府賀茂町に石の風車を作られた門脇修先生は高知市に在住の石彫の芸術家です。先生の夢は日本全国で石の風車を回したいそうで、北から南まで石の風車もだんだんと増えているそうです。
  門脇先生の紹介で笑顔のすてきな三木京子美術館長さんにお会いしました。館長さんも初めて門脇先生のアトリエで石の風車を見たとき「電気のコードはどこかしら」と一生懸命に探したそうです。とても風で石が回ると思わなかったと言われました。
  風が出ると風車はゆっくり、ゆっくり回りはじめました。東風が吹くことが多く、入り口正面の4個が回っていることが多いそうです。風が強い時はとても早くまわりますが、全部回ることは少ないそうです。
  門脇先生は子供が大好きで、毎日近くの養護学校の生徒たちがここの八王子宮まで散歩にくるので、タイトルも「こどもたちへ」として子供に喜んでもらえるのが楽しみとか。先生の少年のような目を思い出し、なるほどと納得しました。経費も運搬代等最少の実費だけで制作したとのお話をうかがい心がほわっと温かくなりました。
  土佐山田の皆さんに親しまれている石の風車が犬島石を使って下さった事に感謝し、そよ風と遊ぶ石の風車にいつまでもいつまでも子供たちの夢を乗せて回ってねといってお別れしました。

自然石に配置されたかわいい石の風車

Map

 

年代別にもどる 地域別にもどる