石の嫁ぎ先

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布引ダム堰堤の飾り

 神戸水道は、明治33年に日本で7番目の近代水道として作られました。新神戸駅の北側にある布引貯水池五本松堰堤は、100年間神戸市民の飲み水を給水してきたのです。
 水道局では古い記録を調べておりましたら、堰堤の材料産地は「石材は殆ど市内の産であるが装飾用石は犬島産なり」とありました。これはどこだろうと思っておりましたら、NHKテレビ「西日本の旅」で私が各地に散らばっている石を訪ねているのを見て、平成14年の春、職員の皆様9名でおいでになりました。それがご縁で交流が始まり、平成15年5月、お訪ねしました。
 新幹線新神戸駅で神戸市水道局の徳山氏と落ち合い歩いてロープーウェイ乗り場に行き、小さな夢風船と名付けられたゴンドラで空の散歩です。六甲山の山並みの美しさに眼を見張り神戸の町、神戸の海、「あれが、布引ダムですよ。」の声にカメラを構えていたらあっという間に風の丘駅に到着しました。
 そこから水道局の坂下氏の車で布引ダムへ。ここは新神戸駅から2キロのコースで遊歩道になっており、リュックをかついだ市民の皆さんがハイキングや野鳥観察等に訪れています。車はダム関係の人だけです。
 いよいよダムに使われている装飾用石と対面です。ワクワクしてきます。工事の監督さんもご一緒して下さり説明をうけました。
 ここは日本最古の重力式コンクリートダムで、この度耐震化工事を行うことになりました。平成13年より始まって平成17年が完成予定です。貯水地の水をぬき堆積土砂を撤去しています。
 さすが神戸市民の飲み水を供給しただけあって広い広い湖です。上の方から見るので働いている人や機材がとても小さく見えます。堰堤の上は仮設の管理橋がかかっていてそこを歩きました。
 登録文化財の指定を受けているので元に近い状態で工事が進められていくのが大変だとおっしゃっていました。堤長は110.3メートル、堤高は33.3メートル、提長幅3.63メートルあります。
 この堰堤の飾り石が犬島産なのです。下をのぞいてみましたがこわくて良く見えません。
 今度は下から見上げる事にしました。布引の滝や景観の美しい場所を歩き下に着き、曲線の美しい石積みを見上げました。どの部分までが犬島の石か分かりませんが、レース飾りのようにデザインしてあり100年経っても狂いなくきちんと並んで貯水湖を守っているのに心を揺さぶられました。
 明治の人の立派な仕事に改めて感動し、多くの人々の協力と善意でこの石積みがいつまでも残っていることに感謝申しあげ、六甲山の風のようにさわやかな思いでおいとましました。

布引ダム
下から見た布引ダム

Map

 

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