石の嫁ぎ先

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モエレ沼公園の石組

  札幌市にあるモエレ沼公園を訪ねました。岡山空港から新千歳空港まで2時間弱の空の旅です。札幌駅から地下鉄東豊線で環状通東駅で下車、そこからバスで約30分の所にあります。
  公園の東口には庵治(香川県産)の石積みがあり、遠くからようこそと迎えてくれました。公園内にはガラス館や野外劇場などの文化施設、野球場や各種の競技場等体育施設を備えた総合公園です。広さは189haもあり、犬島が2つは入るような広大なものです。
  昭和63年3月世界的に有名な彫刻家のイサムノグチ氏が、札幌市長の案内でゴミの処理場として埋め立ての進むモエレ沼を訪れました。
 氏は深い感銘を受け「全体をひとつの彫刻とみなした公園」とするマスタープランを完成させましたが、12月に84歳の生涯を終え帰らぬ人となりました。
 その遺志は引継がれ、翌年から水と緑をテーマとした公園の造成事業が始まりました。今も工事中で全て完成するまでにはしばらく時間がかかるそうです。
 平成に入ってから犬島の東田石材から北海道に向けて大量の石が送り出されました。梱包され貨車に揺られて送られたのです。犬島の石は何処に使われているのかな?秋晴の青空の下、公園の入口で借りたレンタサイクルのペタルを踏みました。
 プレイマウンテンと呼ばれるピラミッドのよう形をした高さ30メートル位の人工の小山があります。
 その南の面に気が遠くなるような量の石が階段状に積んであり、赤い犬島のサビ石と芝の緑が醸し出すコントラストは超一級の芸術です。
 周りの芝生はきれいに刈り込まれており、草のじゅうたんです。おもわず走りまわり大声で叫びたくなりました。「この石ぜんーぶ犬島からお嫁にきたのよ。」って。
 中年の婦人が犬の散歩にやってきたので声をかけました。私は岡山の犬島という島からきました。「動物の犬に島と書きます。」ここに使用されている石の産地なので逢いにきたのです。
 「まあこの石はそんなに遠くから運ばれたのですか。どこか近くの物かと思っていました。犬島なんですね。勉強になりました。家に帰ったら早速地図で捜してみます。」と話が弾みました。
 朝方、公園に向かうバスで同乗した老夫婦に、帰りのバス停で一緒になり、ここでも公園の石が犬島から運ばれていることを誇らしげに話し、いつまでも大事に育ててやってほしいとお願いしました。
 公園はグッドデザイン大賞にも輝いたそうです。
 イサムノグチ氏の名声と共に北の大地に根付ききっと末永く皆さんに可愛がられることだろうと確信を深め、ちょうぴり高くなった鼻を青空に向け「ばんざい。」と叫びながら広い広い公園を後にしました。

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