春の鳥 ウグイスヒバリチドリシギイソシギホオジロカワラヒワ
写真提供:日本野鳥の会岡山県支部 (写真をクリックすると拡大表示されます。)
「ウグイス」ウグイス
 春告鳥と呼ばれているウグイスは、島内にそのさえずる声を多く聞きます。「犬島はウグイスが多いですね。」とよく言われます。春浅い2月下旬頃にもう初音を聞くことができます。冬の間はチャッチャッという舌打ちをするような笹鳴きであったのが、何処となく春めいてきたかなと感じる頃にウグイスはホーホケッと単発的に小さな声でホーホケキョと完全なさえずりになる前の鳴き方を初音と呼んでいます。初音から2、3日で完全なホーホケキョへとなってしまいますから、その春初音を聞くことができた年は何か良い拾い物をしたような気がします。それから島中がウグイスのさえずりで満たされます。
 ウグイスはブッシュ性の環境を好む野鳥です。島にある林は人がほとんど入ることもなくサクラ等の落葉広葉樹を主体とし、林相下部はヒサカキ等の常緑広葉樹や笹に覆われていますので、ウグイスにとっては最適な環境となっています。
 ところが、あんなにさえずっていたウグイスも6月中旬頃からほとんど聞こえなくなります。本土の方では、まだ盛んにさえずっています。島では早めに繁殖を終了してしまうようです。外敵も無く繁殖効率が良いのかもしれません。

「ヒバリ」ヒバリ
 春告鳥のウグイスは島に多い、ではもう一つ春の鳥ヒバリは島に居ますか。犬島で春に2年連続してヒバリのさえずるを聞いたことはありますが、それ以後の確認がありません。ヒバリは草原性の野鳥です。島の中で草原らしき所は、会社のグランドがあります。平成2、3年頃何故か会社の中でヒバリの声を聞いた。何処でさえずっているのかと探して見るとなんとグランドの片隅に巣づくりをしているではありませんか。これは犬島の記録だと思いつつ観察をしていたのですが、ある日グランドの芝焼きのため火を入れられてしまった。真黒焦げになった草地にはもはやヒバリも住めません。その日から声を聞くことはありませんでした。ところがその翌年の春もまたヒバリの声を聞くことができましたが、しかし、数日後グランドは真黒焦げになってしまい、それ以後ヒバリの声を聞くことはできません。

「チドリ」
 チドリは漢字で「千鳥」と書きますように本来は何十羽、何百羽と群れをなして干潟等で見ることができる野鳥ですが、犬島ではその大きな群れを作れるような干潟や海岸線がありません。1羽、2羽の群れをなさない個体が海岸線近くで見かけることができます。春になり海岸線を歩いていると、波打際より少し陸側の砂地か裸地になった所でチョコチョコと人前を歩いているのに気が付きます。その場をやり過ごして少し離れた所から暫く観察しているとチドリはまた元の場所に戻り座込みますので、そこに巣があるのだと判ります。犬島のチドリは「コチドリ」と「シロチドリ」の2種類が生息しています。
 シロチドリはより海岸に近い所、コチドリはそれよりやや内陸部に入った所にいることが多いようです。

「シギ」アオアシシギ
 海岸の代表的野鳥がシギの仲間です。犬島の海岸は干潟性ではなく磯性ですので、磯を好むシギを多く見かけます。その代表的なシギが、「オバシギ」「アオアシシギ」「キアシシギ」「オグロシギ」「オオソリハシシギ」「ダイシャクシギ」「ホウロクシギ」「チュウシャクシギ」と次項で記させて頂きます「イソシギ」を合わせて9種類のシギを確認しています。さらにもっと多くの種類のシギが島に立寄っていると思われますが、春先と秋の一時期に島の磯に一寸立寄って行くのに加え、非常に地味な色合いの野鳥ですから人の目にはあまり触れることもないようです。よほどその気になって探さないとシギと出会うことは難しいです。海岸を歩いていて急に十数メートル先から飛立たれて初めてそこにシギが居たことを知り、「ああ今はシギたちが渡りをしている季節なのだ。」とその季節を実感できます。
 こころなき身にもあわれはしられけりしぎたつ沢の秋の夕暮れ 「西行」


「イソシギ」
 前述のシギたちは旅鳥で春に南のオーストラリアや東南アジア等からシベリア、北極圏の旅の途中に日本に立寄って行く種類ですがイソシギは一年中島でも見ることができるシギです。海岸や港の防波堤の上で1羽だけがピョコピョコと尾を上下に振りながら餌を探している姿が見かけられます。他のシギたちは多くが群れで行動をしていますが、イソシギはほとんど単独行動をしています。他のイソシギが近づくと激しく追撃して追い出しにかかり自分の縄張りの中には入れてくれません。彼には彼の生き方があるのかもしれませんが、1羽で尾をピョコピョコ振って自分の存在を主張しながら防波堤の上にいる姿を見るのは何となく物悲しいシギです。
上へ
「ホオジロ」ホオジロ
 ウグイスよりやや遅れてさえずり出すのがホオジロです。そのさえずりは変化に富んでいて昔から多くの人に親しまれてきました。ホオジロほど聞きなしと呼ばれるさえづりを言葉に置き換えて表現する例は他にはありません。「一筆啓上つかまつりそうろう。」や「源平つつじ白つつじ」と鳴くように聞こえると言われるのは有名な表現です。
 島でも林の中ではなく、林縁のやや開けた場所や畑などの木の梢や電線などに止まって上を向いて朝早くから、夕刻まで一日中自分の縄張りを主張しています。

「カワラヒワ」カワラヒワ
 スズメくらいの大きさでオリーブ褐色をし飛ぶと綺麗な黄色が目立つ小鳥です。春になるとチョンチョンジュィーンジュィーンと透き通った大きな声でさえずります。島の林の中や時として庭先の植込みの中などに巣作りをしていることもあります。畑の中や開けた草地などで餌拾いをしている姿を見かけることもあります。秋から冬にかけては5〜10羽の群れでキリリコロロと優しい声でお互いが鳴き交わしながら飛ぶ姿も良く見かけます。
ホーム春の鳥(現在のページです)夏の鳥秋の鳥冬の鳥留鳥リスト