おかやま蝶図鑑 はじめに おかやまの蝶 一覧表
はじめに
 これまでに岡山県内で記録された蝶のうち,南方などから飛来した迷蝶など偶産と思われる種を除く128種を登載している。


 生態写真はすべて岡山県内で撮影したものを用いたが,生態写真のないものは標本写真を掲げた。その場合,県外産のものを使用したものもある。


 写真には,種名(和名),科名,岡山県レッドデータブックにおけるカテゴリー(登載種のみ),撮影地,撮影年月日を付すとともに,岡山県における知見を基本とした分布・出現期・食草の概略を記述した。


 種名(和名),科名及び全体の配列は,猪又敏男(1990)「原色蝶類検索図鑑」(北隆館)を基本として,一部最近の知見を盛り込んだ。


 県内分布は岡山県を北部,中部,南部の3地域に区分して記述しているが,その範囲は概ね次のとおりである。

北部:新見市から津山市に至る盆地列を結ぶ線よりも北側の山地が優占する地域

中部:吉備高原と呼ばれる定高性の高原状山地を中心とする地域

南部:岡山平野とその周辺の低山地・丘陵地域を含む瀬戸内沿岸の地域


 出現期及び食草(食樹)は,岡山県における知見を取り入れて,できるだけ県内の生活史が把握できるよう努めた。


 「岡山県レッドデータブック」(岡山県)は,絶滅の恐れのある野生生物保護の基礎的資料とするため2003年に編纂・発行されたもので,蝶に関しては全部で35種が次のカテゴリー区分に基づいて登載されている。

絶滅種(すでに絶滅したと考えられる種):2種

シータテハ,ウラジャノメ

絶滅危惧種(絶滅の危機に瀕している種):5種

ギフチョウ,オオウラギンヒョウモン,ヒョウモンモドキ,ウスイロヒョウモンモドキ,ヒメヒカゲ

危急種(絶滅の危険が増大している種):3種

クロツバメシジミ,キバネセセリ,ホシチャバネセセリ

準危急種(存続基盤が脆弱な種):7種

ウラナミアカシジミ,キマダラルリツバメ,ゴマシジミ,ウラギンスジヒョウモン,ウラナミジャノメ,キマダラモドキ,スジグロチャバネセセリ

情報不足(評価するだけの情報が不足している種):1種

キリシマミドリシジミ

希少種(種として元々個体数が少ない種):15種

オナガシジミ,ヒサマツミドリシジミ,クロミドリシジミ,フジミドリシジミ,ミヤマカラスシジミ,ベニモンカラスシジミ,クロシジミ,シルビアシジミ,スギタニルリシジミ,ヒメシジミ,オオムラサキ,オオヒカゲ,クロヒカゲモドキ,ギンイチモンジセセリ,コキマダラセセリ

留意種(絶滅の恐れはないが,岡山県として記録しておく必要があると考えられる種):2種

ツマグロキチョウ,ヒロオビミドリシジミ


 それぞれの種の出現期や食草及び解説など,全体の記述にあたり引用又は参考にした文献は次のとおりである。

浅沼昌平ほか(1986),岡山県のチョウ(第3回特別展「岡山県のチョウ」解説)

猪又敏男(1990),原色蝶類検索図鑑(北隆館)

岡山県(2003),岡山県版レッドデータブック

岡山県(2003),岡山県野生生物目録

倉敷昆虫同好会編(1972),岡山県の蝶,すずむし(108):1-62

福田晴男ほか(1982〜1984),原色日本蝶類生態図鑑(1)〜(4),保育社

三宅誠治(2002),岡山県蝶類データ集(西暦2000年以前発行分)
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