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有害鳥獣の獣皮の有効活用推進事業(2019年取材)

[2024年3月28日]

ID:56767

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捕獲した害獣皮革の活用

活動団体

代表の頼本氏の写真

●団体名 「建部獣皮有効活用研究所」

●団体の概要
主な活動場所:岡山県岡山市北区建部町桜
構成員: 3名
代表者:頼本 ちひろ
設立: 2018年

●これまでの活動
2015年:京都で害獣被害や、皮革の未利用といった社会課題を知る。
2016年:岡山市北区建部町へ移住。 獣皮を活用した活動を開始。
2018年:「建部獣皮有効活用研究所」設立。岡山市「地域活力創出事業」採択。
2019年:小物製作販売、イベント出店を開始。

活動内容

活動のきっかけ

頼本ちひろ氏が、鹿や猪による害獣被害や、害獣捕獲後の皮革の大半が未活用であることを知ったのは、京都府福知山市での暮らしの中だった。専門学校で服飾デザインを学び、アパレルメーカーで服飾製品の製作を行っていた頼本氏は、これらの課題解決に自身の職能を生かした事業の展開を検討し始めた。そこで知り合いの猟師から鹿や猪の皮剥ぎの技術を習得。獣皮の有効活用に関する情報収集も進めていった。

夫の岡山市地域おこし協力隊着任を機に、北区建部町へ移住。同じく害獣被害が課題となっているこの地で、事業化に向けた取り組みをスタートさせる。

岡山市「地域活力創出事業」への応募をきっかけに、「建部獣皮有効活用研究所」を設立。事業が採択され、獣皮を活用した製品の制作と販売を本格的に始動させた。ワークショップ開催、クラフトイベントヘの出店など活動の幅を広げながら、獣皮の有効活用に取り組んでいる。

主な事業

鹿や猪の皮革の販売

なめし作業、染色加工をされた獣皮の写真

自ら一次加工を施した鹿や猪の革を、業者に発注してなめし、染色を施した後、クラフト用の素材として販売。その柔らかさや品質の高さが評判を呼んでいる。

鹿や猪の皮革製品の販売

アイデアと技術が光る革小物の写真

県内で捕獲された害獣の革を使った雑貨を制作・販売。ストラップやアクセサリーといった小物を中心に製作しており、カフェ等での委託販売、イベントへの出店、オンラインショップでの直売を主な販路としている。また、他の事業者とコラボレーションしたオリジナルグッズの制作にも取り組んでいる。

体験講座の開催

革小物づくりのワークショップの様子の写真

革小物づくりのワークショップの開催等に取り組みながら、活動のPRにつなげている。

活動資金について

岡山市「地域活力創出事業補助金」(2018年度)、商品の売上などが主な活動資金となっている。

仲間集めのコツ

移住当時から、地域行事や活動等への参加、近隣の住民との交流やコミュニケーションを積極的に行ってきた。その前向きな姿勢が、住民からの理解や協力を促し、事業を応援してもらえる雰囲気や関係づくり、仲間集めにも役立っている。

活動のポイント

鹿や猪などの革素材が持つ市場価値をリサーチし、事業戦略に活用。ものづくりに留まらず、ワークショップの開催や、事業者とのコラボレーションなども行うことで、より多くの人に獣皮の魅力を発信し、利用価値を高めている。また、剥皮作業や獣皮病脂除去加工の技術を習得するなど、素材の加工から獣皮活用に真摯に取り組む姿勢が、猟師や同業者等からの信頼を集めている。

自ら責任を持ってできる範囲で、素材調達から、企画・製作・販売といった一連の流れを行うことで、「小さく産んで小さく育てる」というコミュニティビジネスの展開に適した体制が構築されている。

活動継続の秘訣

自ら剥皮作業を行うため、猟師から害獣の捕獲情報の連絡をもらっている。その横の連携や、現場を知る作業で蓄積した経験や技術が、獣皮有効活用のためのネットワーク構築や事業展開にも役立っている。さらに、近隣の獣肉処理施設、猪皮の素材活用に取り組む県内の事業者、県外のなめし加工事業者と情報交換や交流を重ねることで、事業の相談もできる密な関係性を構築している。

これからの展望

田畑を荒らす害獣も、もともとは命ある生き物。肉はジビエ料理に活用されるものの、獣皮は未活用のまま廃棄されている「もったいない」現状を少しでも減らせるように、猟師や食肉加工場から加工前の獣皮を買い取り、自らの技術を活かして有効活用していきたい。「建部獣皮有効活用研究所」の安定運営を目指し、商品の販路拡大や岡山の土産品としての認知度アップに努めながら、各事業者との連携を進めていきたい。

体制図

事業者が「建部獣皮有効活用研究所」と連携し、利用者へ商品サービスを料金と引き換えに提供し、岡山市は補助金を「建部獣皮有効活用研究所」に提供するという体制図

2019年の取材の内容です。