こんにち
岡山市民の文芸
現代詩 −第49回(平成29年度)−


お   じ ぎ  そ う
含 羞 草 玉上 由美子



お早う と いうと
お早う と 応える
今日は と いうと
今日は と 応える
お休み と いうと
お休み と 応える


応えながら
内気過ぎるものたちは
しゅるしゅると体を閉じて
深々とお辞儀する


たとえ
触らないように触っても
動かないように動いても
揺れないように揺れたとしても
垂れ下がる
下を向いて 垂れ下がる


風にさえ
温度にさえ
明るさにさえ
動かされ 支配され続けて


あたかも
在るものさえも無いかのように
そっとそっと形作られた
薄緑色の茎から
申し訳なさそうに覗く棘たちの声は
私の心に浸みてくる
「囚われたくないのよ」


枝は地面を這いながら
横へ横へと延びてゆく
球状淡紅色の花たちは
次々と軟らかく咲き続けて


ため息さえも溶け込んでしまいそうな
日の暮れた闇の中でだけ
自分自身の眠りにつく




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