岡山市民の文芸
現代詩 −第47回(平成27年度)−


宝石 栗 原 由 美


試合に負けて
グローブを投げつけ
唇を震わせて
手の甲で涙を払いのけていた子が
花束を渡してくれる時
私のハンカチを取って
涙でくしゃくしゃになった顔を
拭いている


昔から泣き虫だった
負けず嫌いの泣き虫だった
その子が
晴れやかなこの歓びの席で
一番素直に泣いている
今までありがとうと泣いている


いい母親ではなかった私が
頂いてもいいのかな
どんな宝石より
その涙
一番の輝きを放ちながら
今日
私の宝物になった



















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