岡山市民の文芸
現代詩 −第41回(平成21年度)−


こころの花 山本 成子


早朝の
心地よい風の中で
今日も車椅子をこぐ
一日 一日が
平凡に過ぎてゆくこと
それが何よりの幸せと
消えない重荷から
凍みて来る
何時もの席で
全てを忘れ
大きな
心のキャンバスに
季節の花が咲く
背中から聴こえる
穏やかな曲に乗って
心も 開きかけた花も
そして 手のひらまでも
楽しんでいる
白紙から花開くまで
自身の心の底を描いてゆく
遠くから眺めては
また 色を足し
また 色を変え
やっと 一輪の花が咲く
忘れかけた時間が
思い出したように
動き始める
過ぎた時間は
描いた花に満ち溢れ
まるで
パズルの
大事な 一ピースの花びらに似ている
咲き誇る花一輪
私にとって
その咲いた花こそ
生きがい
よろこび
そして
私の こころの花・・



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