岡山市民の文芸
現代詩 −第40回(平成20年度)−


キャベツ サプリメント


心傷むことがあった日は
帰宅してキャベツを刻む
サクサクと快い音をたて
今日の日の鬱屈を
 みじん切りにする

気持ちが沿い
センセンとした湧き水に触れる
より深く親しもうと
研ぎ澄まされ いっそう
 慰安に洗われている

キャベツ自身
快適な日もあった
うっとうしい日もあった
ヒストリーは緻密に
 層状ボールにレコードされ

人はいつか
グリーン・コスモスに吸収され
リズミカルにまわる空中観覧車
葉菜のひだの悲喜模様と
 共鳴しあっている

向かえばいつでも
サクサクと
ゆかしく準備されている
 サプリメント

湧き水のオアシスを訪ね
心の傷みが影も薄れるころ
一玉のキャベツが消え
人自身がそこばくの
リフレッシュされた
 キャベツの残像に他ならない

去り行く今日の日
ものの哀れは 蒼白く
ひなびて キッチンの
 ウィンドーに映っている



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