岡山市民の文芸
現代詩 −第38回(平成18年度)−


原田 貴之


あの日僕はまるかった
あまりにもまるくて眩しくて
僕は少し欠けた
まんまるじゃなくなった僕は
なんだか少しいい気分
気をよくした僕は
どんどん欠けた
どんどん欠けて尖ったら
今度は少し寂しくなった
寂しくなって気づいたら
僕はどんどん小さくなった
小さくなって無くなった
無くなった僕を誰も見つけられない
僕は見つけてほしくて
少し顔を覗かせた
見つけてくれたあの人に
僕をもっと見せたくて
僕はどんどん大きくなった
大きくなった僕は
なんだかとってもいい気分
いい気分の僕は
眩しいまんまるお月様



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