岡山市民の文芸
現代詩 −第36回(平成16年度)−


冷たい土 菅原 明美


冷たい土のかたまりは
かたくかたく身を閉ざしていた
息を吹きかけるがごとく
語りかけるがごとく
こねる
ゆっくりとこねる
やがて手のひらから伝わるあたたかさ
微動ではあるが確かな鼓動
わたしの想いは一気にふくらみ
果てしなく広がる
しかし、それは息をするのもこわいくらい
もろくこわれやすい
歪んではじっと見つめ
傾いては立ち止まる
想いの届かない苛立ち
分かってもらえぬ寂しさがつのる
土はまた身を閉ざす
傷を残してかたく冷たく身を閉ざす
ひとりよがりをくり返し
わたしの想いは途方に暮れる



短歌俳句川柳現代詩随筆トップ
ザ・リット・シティミュージアム