岡山市民の文芸
現代詩 −第35回(平成15年度)−


妬心 福島 京子


揺れていた
雪にたわむ枝のように


沸々と
あぶくのように
湧き出る妬心


プツプツと
音をたてて
割れていくそばから
膨らみきれない大きさで
また
生まれては壊れていく


溶かしきれない墨をため
未知の底から湧き上がる


いつの間に
こんなに沢山のあぶくを
抱えてしまったのだろう


“許す”という行為は
なんとむつかしいことだろうか


気にもしていないそぶりをしながら
のぞき込んだ深淵に
誰も知らない私がいる


笑い
しゃべり
強がったそのあとに
もう一人の自分がいた


封じられた怒り


気がつけば
知らぬ間に
いくつもの地雷を
心の中に埋めていた



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