岡山市民の文芸
現代詩 −第29回(平成9年度)−


埋み火 福島 京子


小さな風に
心の炎が揺れた


納得できず
無理に消した火は
後悔と共に
闇の中でゆれ続け
気づかぬ心の底を
這っていた


確かに
消えたつもりだった埋み火が
灰の底の底で
消しきれない種火を
燃やし続けていた
いつの日か
全身全霊で燃え上がる日を
待っていたかのように
プッツリと
とだえてしまったその先を
闇の中に手探ぐりするような


不確かなものを
ジグソーパズルのように
つなぎ合わせて
それでも足りないかけらを
どこかに探していた
未完成のまま
とじ込められた思い
風の前に燃え上がる
炎のように
もえてしまえば
きっと翔べるのに


いつまでも
かえらないさなぎのまま
飛び立てない私



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