岡山市民の文芸
現代詩 −第22回(平成2年度)−


盆花 玉上 由美子


   すすき  ききょう
   はぎ   おみなえし


わたしが子どもだったころ
盆花は じいちゃんが山から採ってきた


じいちゃんの足がだめになって
となりのかずやんが採ってきてくれた


じいちゃんが死んで かずやんも死んで
今、
白髪の父ちゃんが
盆花を 採りにいく


青くさい ござの上
   すすき  ききょう
   はぎ   おみなえし
山のにおい あの日のにおい
   すすき  ききょう
   はぎ   おみなえし


とうもろこしのしっぽの生えた
なすびの馬が ひょっこりと立ち
いつもと同じ
すいか ぶどう もも が並ぶ


去年と同じ
いつもと同じ


けれど…


めぐるめぐる日々
ささやかなむかしむかしが
おずおずと よみがえり
ああ
流れていくとき 流れていく日々が
たまらなく せつない


じいちゃんに 会いたい



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