岡山市民の文芸
現代詩 −第21回(平成元年度)−


岩藤 由美子


見返しに
不幸が描かれていても
閉じることのできない
たった一冊の
私という本


ページをめくる度に
縮んだり膨らんだりする
臆病な私が
行間に
沈澱する


変色しかけた
過去のページと
インクの匂いの
包みこまれた
未来のページの
境目に
真実の栞が
ブイのように浮かんでいる


流されまいと
死に物狂いで
ブイの栞に
すがる私がいる



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