岡山市民の文芸
現代詩 −第21回(平成元年度)−


ひとりよがりの散歩道 近藤 智美


ゴミゴミした都会の道には
ふれ合う夢さえ 落ちていない
つめたくて何の答えも見い出せない
歪んだ道ばかりに見えてしまう
心暖まるふるさとの道は
今、どのあたりにあるだろう


ふと立ち止まり
むじゃきに咲く草花に
思わず 声をかけてしまったあの道
石ころにつまずいて
泣きべそかいても
それだけで親しみを覚えたあの道
今、この足で この手で
触れることがない
あの道たちを
都会の中で白いカンバスに描いてみる
この熱い思いを
息吹を ふき込みたいから―


ひとりぼっちの散歩道
あの空まで 飛んで行け



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