岡山市民の文芸
現代詩 −第18回(昭和61年度)−


岩藤 由美子


ききょう色に染まった水平線を
角砂糖のような船が
ゆったりとすすんでゆきます
リボンの似合う娘に
花束を届けにゆくのですか
髪の長い娘に
歌を届けにゆくのですか
ゆきさきを替えるなんてこと
一度も考えなかったのでしょうね―
手を振らなければ気づいてくれませんか
遠い遠い砂浜に
いまだに想いを秘めたまま
眠れぬ夜を過ごす
白い貝のいることに―



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