岡山市民の文芸
現代詩 −第18回(昭和61年度)−


ある曲面で 額田 昭子


鋭く裂けたくらげの傘が
ひと捩じりした螺旋型
そんな曲面にしがみつき
幾度冷たい汗を流したことでしょう


光と陰 生と死 天国と地獄
あらゆるものを両極に
くらげの螺旋はゆるゆると
あるときは とてつもなく巨大に
あるときは レースのように薄く
あるときは 冷たく
赤 黄 青 紫と色さえ変えて動くのです


流されまいと
落っこちまいと
這い上り 這い上り
喘ぎながら
ふと見ると
鋭く裂けたくらげの傘は
たっぷりと帯電しているのです



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