岡山市民の文芸
現代詩 −第11回(昭和54年度)−


黄色い花 関  好子


何も識らなかった時は
月見草の花の名前さえ、知らなかった
片想いに苦しんだ昔、それが
宵待草の別名があると識った
そして今、少しだけど、人生のアクをつけ
人の心が、不透明乍ら見え出したら
何と、この花の命の脆い生き様よ
今は廃線になった線路の脇に
果てしなく続く
逢魔が時のこの花は
まるで冥土への道標の
ぼんぼりの灯りとなって
総てを忘れさせ
聖女に生れ替らせて
幽幻の世界へと
朦朧と人を誘い込む



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