岡山市民の文芸
現代詩 −第10回(昭和53年度)−


ホワイト 神崎 良造


秋の夜ひとり
心しらじらと
スタンドだけつけた部屋は
そこだけ 白い円
アルバイトの帰りに見た
交通事故を思い出して
読みかけの文庫本をふせる


信号が赤にかわったのに
強引につっこんできたダンプに
はねとばされた あの人
男の人か 女の人か それさえわからなかった
あの人はまだ 生きてるだろうか
あんな寒い秋の夕暮れに
何も死ななくたって・・・・


あの人が事故にあったのは なぜ?
あの人が死んだとしたら それはなぜ?
人が死ぬのを見たのに
ぼくが生きてるのは なぜ?
ホワイ? ホワイ?
いくら問いかけても
いくら問いかけても
答えはいつも ホ・ワ・イ・ト



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