加茂川 前の作品へ作品目次へ次の作品へ

「加茂川」 大正3年頃 軸装
京都加茂川の床に立ち東山を見る舞妓さんの白く細いうなじと肩、僅かに身をくねらせた姿態に続く着物の裾に、祇園の風情が艶やかに表現されています。黒地にたんぽぽの大胆な文様は、夢二のデザイナーとしての感覚が十分に発揮されていると言えるでしょう。昭和26年、大阪梅田の古本屋の店先で、この作品と出会った夢二郷土美術館を創立した初代館長松田基は、通俗的な挿絵画家という既成概念を一新、即座に買い求めたという記念すべき作品です。

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