諸礼(宝木納めの儀式)
宝木納めの儀式


 宝木納めの儀式は、客殿大広間で行なわれる。正面床の前に山主の座が設けられ、その左右には黒塗り猫足の角火鉢が置かれ、火は入れず人参3本を逆さにして根先を寄せ集めて立てる。左手の上座に祝主とその関係者、下座に寺総代、右手に取り主とその関係者、下座には左手同様に寺総代が並び、山主の祝辞で式が始まる。
1 熨斗
 菓子昆布を熨斗状に大きく作り白木の大形三宝に載せた「昆布三宝」を白衣、緋袴姿の女の子が捧げて進み、山主の前に置くと山主は三宝を持って捧げるように戴き元の処に置くついで祝主の前に進み祝主側が次々と戴き、次は取り主に移り、取主側が次々と戴いて終る。
2 雌蝶の銚子
 長柄の銚子(雌蝶の銚子)で飾が付き冷酒が入れてある。次に白土器が三宝に載せてある。次に五葉松の小枝、笹、梅の枝が立てられ、そのすそをおぼろ、そぼろで巻き、その横に板昆布を載せた三宝の三種1組で、3人の女の子が捧げて先の通りの順序で先ず土器、酒、昆布とすすめ、更に酒をすすめて次の人にと順次全員にすすめて終わる。
3 雄蝶の銚子
 鉄の提子の銚子で雄蝶の飾りの付いたものに暖酒を入れたもの、盃台に乗った塗りの三ツ盃、高足の台に乗った蒔絵の三つ重ねの蓋物に干柿を入れたものの三種を再び3人で捧げて前の通りの順序で盃をすすめて、酒を注ぎ、干柿をすすめて、更に酒をすすめて一廻りして三宝の式を終わる。

 三宝の式が終わると祝主と会陽奉賛会より取り主に規定の賞金が贈られる。山主は祝式が終ったので精進料理でもてなしすべてが終わる。

 さて、この祝の式であるが、古く明治以前は、客殿に祝主以下数名、取り主と一部の家族程度の人を招いて煮染で祝盃程度の祝いが長い間続いていたが、明治の初期頃に小笠原流の礼法を取り入れた三宝の式を祝主参詣の儀式に取り入れて以来、宝木納めの祝式がこうした形で行われている。
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