6.幡多廃寺(はたはいじ)

 岡山市赤田にある。旭川東岸平野の中央部に位置する。塔跡だけは国指定遺跡である。塔心礎の大きさは県下最大である。心礎表面には被熱痕が明瞭であり、火災によって塔が倒壊した可能性を想像させられる。
 発掘調査の結果、金堂と塔の基壇、中門、南門、北門の基礎地形などが検出されたが、ほとんどが後世の削平の影響を大きく受けている。多数の瓦や三彩陶器、円面硯、土器などが出土したが、凝灰岩の石材も出土しており、賞田廃寺と同様に壇上積基壇の堂塔が存在したものと推定される。
 同じ平野に位置する賞田廃寺や居都廃寺と、密接な関係にあることが瓦の分析から指摘されており、それらは吉備の有力豪族である上道氏の氏寺と考えられる。

位置

見学 JR「高島駅」下車、東へ徒歩5分。

参考文献 出宮徳尚「幡多廃寺」『岡山県史』考古資料 1986年

出土瓦拓本(参考文献より引用)

幡多廃寺土壇

塔心礎

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