3.むすび

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  昔は家を建てるとき基礎になる延べ石にはほとんどの家が白い花崗岩を使っていましたが、昭和40年代に入りブロックで基礎をこしらえる方法が取り入れられるようになり、犬島の石は公園の敷石やモニュメントとして使われることが多くなりました。
  雨に洗われ淡いピンク色に変身し新しい顔となった時の石が私は大好きで、キラキラと輝くダイヤモンドより美しく世界で一番の宝の石だと思っています。
  犬島で石を採掘するのは、鶴が自分の羽根を抜き取り美しい織物に仕上げて行くような、哀しくいとおしい気持ちにもなりますが、嫁ぎ先の土地に静かにたたずみ皆さま方の幸せな暮らしを見守り、長年にわたり地域のシンボルとして可愛がられていると思うととても嬉しくなります。
  訪ねて行き、出会いが増える毎に、石の偉大さたくましさに大きな感動を覚えるとともに犬島の歴史の深さを誇らしく思う心が広まって参りました。
  私の所の神社の鳥居は「犬島から運ばれて来た」との記録が残っていると古い資料を届けて頂いたり、石のルーツを訪ねてはるばるお越し頂き、美しい自然いっぱいの犬島を堪能して頂いたりと、新しい発見や新たな交流の輪の広がりなど多くの人たちに支えらて、全国各地の犬島の石の嫁ぎ先を訪ねることができました。厚く感謝を申し上げます。
  引き続き、石の嫁ぎ先を訪ね、旅を続けたいと思っています。「ここに犬島から嫁いで来た石があるよ」とわかりましたらお知らせ頂きますようお願いを申し上げます。

 

 

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