庭園の面積は約197坪(650平方メートル)、南北に長く、東西にやや狭く、山畔へかけて長方形の地割となり、山畔を利用して、上部から多数の石を組んで蓬莱神仙式を形取った池泉鑑賞式庭園です。
作庭年代や作者に関する記録はありませんが、庭園の様式や、石組み手法などから桃山末期の作庭で、慶長末年(1610)前後といわれています。
妙教寺が戦火に罹り、烏有に帰した伽藍を中興妙智院日円聖人が再興したのが、慶長6年(1601)のことで、次第に諸堂を完成し、10年前後を経過して客殿を完成した当時の作庭と考えられます。
また、寺院庭園であっても武家好みの蓬莱山水としての様式をとっているのは、妙教寺再興のため日円聖人を関東より招致した領主花房公が、妙教寺の大檀那的存在であったことを物語ります。
岡山県下では、桃山期の庭園としては、次の4庭園です。
・妙教寺庭園 |
岡山市 池泉鑑賞式 |
・頼久寺庭園 |
高梁市 枯山水大刈込 |
・安養寺庭園 |
英田郡 池泉鑑賞式 |
・旧松山城居館庭園 |
高梁市 池泉鑑賞式 |
また、日蓮宗寺院の庭として桃山期のものも少なく、京都以外の日蓮宗関係寺院としては、妙教寺の庭園のみといわれています。
[作例] |
・真如院庭園 |
京都市 枯山水 |
・本法寺江庭園 |
京都市 枯山水 |
・勧持院庭園 |
京都市 枯山水 |
植栽 |
アカマツ・クロマツ・サクラ・カエデ・アラカシ・ウメモドキ・ヒノキ・スギ・モクセイ・モッコウ・サツキ・ツツジ・マキ・ウメ
ツバキ・ヤツデ・チシャ・ビャクシン・ゴヨウマツ・ツガ・カナメ・モミ・キンモクセイ・サルスベリ・カイズカ等 |
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