図鑑や文献などの資料により、確実で正しい知識を習得する。

1.目的(症状)によって、必要な植物、必要な部位、最少限必要な量を把握する。

(1) 目的とする植物は図鑑や写真などの資料で正確に見極めて採取し、それ以外の不要な植物は形状が似ているといっても採取はしない。
薬効がないばかりか、毒になる植物である場合がある。
(2) 乱獲による絶滅や消失を避けるため、採取は必要最少限にとどめ、生育環境の適したその場所に、繁殖するために必要な株数を必ず残し、その植物の生育株の総数回復に努める。
(3) その植物の個体株全部(全草)を、必ずしも根こそぎ掘り採る必要性はなく、葉とか花又は果実などの有用必要な部分だけを採取する。
(4) その植物を多量に必要とするならば、株分け、挿木、挿芽及び播種などの方法をもって、身近な庭や畑などに増殖栽培をはかる。

2.利用する部位ごとの採取する適期を把握する。

(1) 全草や茎葉は、開花期か果実の完熟前。
(2) 葉は、栄養成長の盛んな時期。
(3) 花は、開花の前日。
(4) 根(根茎、根皮を含む)は、地上部が枯れた休眠期。
(5) 果実は、完熟する10日前。

3.目的(症状)ごとの利用方法を把握する。

(1) 生で利用する場合、(1)揉む。(2)すりつぶす。(3)きざむ。(4)焼く。(5)あぶる。(6)蒸す。(7)アルコール漬け。(8)浴湯。などの方法がある。
(2) 乾燥させて使用する場合、(1)煎じる。(2)浸す。(3)アルコール漬け。(4)浴湯。などがある。

  薬草または薬用植物は、採取した直後の新鮮な植物を使用することを心掛け、土砂、ゴミなど夾雑物を排除し、水洗いした後残った水分を速やかに取り除く。
  植物を前もって粗く刻んでおくと使用するときに便利であるが、芳香とか色素を利用するものは陰干し、その他のものは日干しをする。
  濡れたり蒸れたりすると、生薬が変質したり薬効が消失したりするので、採取後はできるだけ早く処理し、乾燥中や乾燥後は絶対に雨露にあててはならない。
  保存は通気性のよい紙袋を用いるが、その袋に生薬名、効能、日付など必要なことを書き込んでおく。
  生薬の入った紙袋は、乾燥剤と共に缶などの密閉できる容器に入れて保存するが、ビニール袋での保存は、生薬が蒸れて変質するので好ましくない。
  生薬を、煎じて利用する場合の基本的な分量として、コップ3杯(約600cc)の水に、1日分として使用する量(約10g)の生薬を入れ、とろ火で30〜40分間かけて半量になるまで煮詰め、抽出カスを素早く漉し除いてゆっくり冷まし、1回にコップ半杯(約100cc)を食間に服用する。
  煮詰める時の注意事項として、鉄瓶などは生薬の成分を変質させる物質が溶けだすことがあるので使用は避けて、土瓶、ガラス容器などを使用して薬液を抽出する。