操山の野鳥たち
ツグミ(ヒタキ科)

No.9 ツグミ(ヒタキ科)
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 秋になると北の方から渡ってきて日本で冬を越す鳥を「冬鳥」と言います。操山など平野部の里山には冬鳥が多く、年間を通じて見られる野鳥の半分近くの種類を占めています。
 ツグミは岡山に来る代表的な冬鳥で、10月下旬から翌年の4月ごろまで県下全域で見られ、河川敷や大きな公園、農耕地などを生息場所とし、住宅地の庭先にもやって来ます。
 通常、地上で昆虫などのえさをとりますが、カキの実も大好物です。雪の中、だいだい色のカキの実に群れるツグミは、冬の風情を表現する格好の被写体で、多くのカメラマンが写真に納めています。
 ツグミは、主にシベリア方面から日本海を越えて日本に渡来します。秋に地上に姿を現す10月下旬以前に、夜空を渡る「チリリ」という甲高い声が聞かれ、夜間南へ南へと渡っていることが分かります。鳥はいわゆる「鳥目」で、夜間は視力がないと思われがちですが、こと野鳥に関しては多くの鳥が夜に渡ることからみても、夜でも視力は機能しているようです。
 少し前までツグミはかすみ網で大量に捕獲され、食用にされていたという歴史があります。海を越えて来た群れが羽を休めようとする場所に網を張りめぐらせて一網打尽に捕らえたのです。現在捕獲は禁じられていますが、捕獲圧が強かったせいか、日本のツグミは警戒心が強く、今でもなかなか人を近寄せません。他国のツグミ類、たとえばイギリスのブラックバード(クロウタドリ)などはお人好しで至近距離にやって来ます。バードウオッチャーとしては、いつか日本のツグミとも近くで対面したいものです。 

日本野鳥の会岡山県支部

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