操山の野鳥たち
ルリビタキ(ヒタキ科)

No.8 ルリビタキ(ヒタキ科)
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 初冬の雑木林。落ち葉を踏みしめて歩いていくと、目の前を横切ってやぶに入る小鳥がいました。立ち止まって待つこと三十秒、「ググッ、ググッ」と低い声が聞こえてきます。やがてブルーの背中をした美しい鳥が姿を現しました。ルリビタキです。
 この鳥は、夏の間は標高千八百メートル以上くらいの高山にすんでいて、積雪のためえさがとれなくなる秋から冬にかけて低山に降りてきます。市街地ではなかなか目にする機会はないものの、操山をはじめ市近郊の山には毎年のように飛来しています。
 夏山登山をしていて、この鳥の早口で涼しげなさえずりを耳にすると、いかにも高い山に登ってきたなという感じがしますが、一転して冬の間は茂みの中で、くぐもったような低い声で遠慮がちに鳴いています。このため、山歩きの人にもほとんど気付かれることがないようです。
 ルリビタキ(ヒタキ科)冬の雑木林は、一見何もかも生き物の営みが止まっているように感じられますが、立ち止まって耳を澄ましてみると、きっとどこからか鳥たちの小さな声が聞こえてくることでしょう。初夏のようなにぎやかさはないものの、懸命にえさを探して森の中を飛び交い、仲間を呼び合っている鳥たちがいるのです。
 幸福の青い鳥とは限りませんが、静かな冬の雑木林で思いがけずルリビタキに出会った日は、一日がちょっと幸せな気分になれると思います。 

日本野鳥の会岡山県支部

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