操山の野鳥たち
コゲラ(キツツキ科)

No.6 コゲラ(キツツキ科)
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 「ギィー」ドアがきしむような声を発して、雑木林の中を小さな小さな鳥が飛んで来ました。幹に真っすぐ縦に止まって、上がっていきます。日本で一番小さいキツツキ、「コゲラ」です。
 一年を通して昆虫を主食としている鳥たちは、虫の発生が少ない冬を越すため、南方に渡っていく種類が多いのですが、コゲラは木の幹の内部や表皮の裏に潜む虫たちを食べることによって、厳しい冬も暮らすことができます。操山では一年中その姿を見ることができ、秋から冬にかけては、シジュウカラやメジロなどのほかの鳥たちと混じった群れで生活していることもあります。
 早春、コゲラはその鋭いくちばしを使って、木に真ん丸い巣穴を掘ります。穴を開けるのは樹木を傷めるのではないかと思われがちですが、コゲラは若い木ではなく、腐りかけた枯れ木を利用することがほとんどです。また、コゲラの古巣は、ほかの鳥のすみかとしてもとしても再利用されることが多いようです。
 一方では、木の幹に潜む昆虫を捕らえることによって、樹木を守る役目も果たしています。このように、コゲラは樹木の世代交代に貢献し、森の生態系のバランスを支える役割の一端を担っていると考えられます。
 近ごろ、コゲラが市街地でも見かけられるようになりました。街路樹が育ち、営巣に適した枯れ枝が増えたのでしょうか?原因は不明で一概には喜べませんが、都市の自然環境を図るバロメーターとして、着目すべきかもしれません。

日本野鳥の会岡山県支部

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