操山の野鳥たち
フクロウ(フクロウ科)

No.10 フクロウ(フクロウ科)
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 ずんぐりした体に丸い顔と丸い目。フクロウは愛きょうのある姿で多くの人に親しまれています。でも、野外で本物を見たことがある人は少ないでしょう。操山にもフクロウは一年中すんでいて、昼間はひっそりと木立の奥に潜み、夕暮れとともに活動を開始します。暗い林の中を悠悠と飛ぶ姿は闇の支配者としての貫録にあふれています。
 フクロウは肉食性で、ネズミやイタチなどの小動物やスズメやヒヨドリなどの小型の野鳥をえさにします。夜の闇で寝込みを襲われてはたまらないとばかりに、小鳥たちは昼間フクロウを見かけると徹底的に追い払おうとします。その最たるものはカラスで、両者の間柄はまさに犬猿の仲です。その様子を見た昔の人は「ふくろうの染め物屋」など、カラスとフクロウにまつわる話をいろいろと作りました。
 2月になるとフクロウは繁殖期に入り、夜になると独特の声でよく鳴きます。「ホーホー、ホロスケ ホーホー」という低音で遠くまで響く声は、自分の縄張りを宣言するとともに、雌を呼ぶ役目を果たしているようです。昔の人はこの声をいろいろな言葉に置き換えました。それを"聞きなし"と言いますが、「五郎助奉公、ぼろ来て奉公」が代表的な聞きなしの例です。「ホーホー  小僧捕って食うぞ」と聞いて、なかなか寝ない子を諭していた例もあります。夜の闇が深かった時代、子どもにとってフクロウの声は、何より恐怖感をかきたてる存在だったのでしょう。
 このように、フクロウは私たちの生活とさまざまなかかわりを持って生きてきた野鳥です。機会があれば"里山の隣人"とも言えるこの鳥の声を実際に聞いてみてください。 

日本野鳥の会岡山県支部

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