3. 曹源寺(そうげんじ) 国指定史跡

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 曹源寺は元禄十一年(1691)に、岡山城主池田綱政が児島の郡村にあった永昌庵を当地へ移して菩提寺とした禅宗寺院である。綱政は同寺の境内に自分の寿蔵(墓)を造り、以降の岡山城主の墓も同寺の境内に営まれている。広大な境内は「岡山藩主池田家墓所」として国の史跡に指定されている。

 本堂(仏殿)

写真: 曹源寺本堂
曹源寺本堂

 安永九年(1780)に焼失し、現在の本堂は文政七年(1824)の再建である。桁行七間、梁間六間、重層、入母屋造、本瓦葺である。上層正面中央には、綱政筆の「曹源寺」の額を掲げる。内部は三室に区切り、中央の室中だけが格天井、ほかの二室は竿縁天井である。仏間の仏壇には、本尊十一面観音を祀り、代々の霊牌を安置している。段の左右に綱正以下七代の藩主及び、嫡子一人の木造と厨子が置いてあるが、これは背後にある個々の墓前の拝み堂に安置されていたものを明治初年に本堂へ移設したものである。これらは岡山市指定重要文化財である。

 三門(山門)

写真: 曹源寺 三門
曹源寺 三門

 総門を入り、池をわたって進むと本堂の正面に壮大な三門がある。入母屋造、本瓦葺、五間三戸の楼門で、柱は礎盤のついた総円柱である。両側には山廊が付く。上層の内部には仏壇を設け、中央に宝冠の釈迦と両脇侍を安置、その左右に十六羅漢の木造を並べている。寺創建時の建物である。

 経堂(経蔵)

写真: 曹源寺 経堂
曹源寺 経堂

 本堂の西南方にある。三間四方の方形造り、本瓦葺きで正面に一間の庇が付属する。内部は内陣と外陣にわけ、内陣は鏡天井、外陣は化粧屋根裏である。内陣には輪蔵を設け、円形の壇上に八角堂の形をした経架を置いて、回転させる構造になっている。寺創建時の建物である。

 開山堂

写真: 曹源寺 開山堂
曹源寺 開山堂

 経堂の後方にある。当寺を開山した絶外和尚の霊廟である。礼堂と祠堂を相の間でつないだ権現造に似た建物配置である。礼堂は桁行三間、梁間三間の入母屋造の本瓦葺、祠道は桁行二間、梁間一間の入母屋造の本瓦葺、相の間は正面一間、側面一間の両下造の本瓦葺である。

 祠堂には絶外和尚の椅座像を安置しており、その下には絶外和尚の墓標である五輪の石塔がみえる。寺創建時の建物である。

 鐘楼・鼓楼

 本堂と三門の間の松林の東西両端に鐘楼と鼓楼がある。両方とも同じ様式の袴腰の楼建築で、東が鐘楼、西が鼓楼である。桁行三間、梁間二間、入母屋造、本瓦葺である。寺創建時の建物である。

写真: 曹源寺 鐘楼
曹源寺 鐘楼
写真: 曹源寺 鼓楼
曹源寺 鼓楼

 三重塔

 最も背後に相当する山腹に建てられた三重塔である。この塔は当初の計画にはなかったといわれる。三間三重で本瓦葺である。寺創建時の建物である。

写真: 曹源寺 三重塔
曹源寺 三重塔
実測図: 曹源寺 三重塔
曹源寺 三重塔

地図: 曹源寺(そうげんじ)
位置

見学 両備バス「曹源寺」下車、徒歩5分

参考文献 厳津政右衛門『岡山の建築』日本文教出版株式会社 1967年
岡山県教育委員会『岡山県の近世社寺建築』 1978年

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