3. 足守藩陣屋町(あしもりはんじんやまち) 前へ目次へ次へ
旧足守藩侍屋敷遺構の写真

旧足守藩侍屋敷遺構

 足守藩陣屋町は岡山市域西北端の岡山市足守にある。足守藩は豊臣秀吉の正妻であるねね(北政所)の兄である木下家定によって立藩された。現陣屋町がいつ頃形成されたのかはよくわかっていないが、17世紀の終わり頃には完成していたと思われる。
 陣屋町とは、いわゆる城下町に相当するもので、現在は藩主の屋敷跡は公園、藩政をおこなう会所は小学校となっている。しかし、陣屋町の地割りは現在の街路と重なっており、当時の面影をあちらこちらでみることができる。なお、藩主の庭園である近水園は小掘遠州流の池泉回遊式で見学可能である。さらに陣屋跡の東側にある鍛冶山城は標高172mの山城で、本丸周囲には石垣が残っている。陣屋町以前における足守藩の拠点の城であったと考えられる。

 旧足守藩侍屋敷遺構(県指定文化財)

 足守藩の国家老であった杉原家の屋敷である。母屋・長屋門・内蔵・便所・湯殿・土蔵・庭園があり、完存に近い武家屋敷としとして極めて貴重なものである。江戸時代中期と推定されている。

旧足守藩侍屋敷遺構の図

旧足守藩侍屋敷遺構(参考文献より引用)

 吟風閣

吟風閣の写真

吟風閣

 足守藩主の大名庭園である近水園(江戸時代中期の築造)に設けられた数寄屋建物で、宝永五年(1708)に六代藩主が、幕府から京都仙洞御所の普請を命じられた際の残材を拝領して建てたと伝えられる藩主の休憩所である。切妻造で、一部二階建ての銅板葺、平屋西面入母屋造の茅葺、三方に桟瓦葺の庇がつき、正面西寄りに式台を設ける。背面東隅に便所を付属する。

吟風閣の図

吟風閣(参考文献より引用)

 旧木下権之助屋敷表門 (岡山市指定重要文化財)

旧木下権之助屋敷表門の写真

旧木下権之助屋敷表門

 木下権之助家とは、足守藩三代藩主木下利房の養子とした権之助利古を家祖とし、当主は代々「権之助」あるいは「権輔」と名乗り、北木下家とも呼ばれていた。
 この長屋門は当家の表門として弘化三年(1846)に再建されたもので、明治になって当地一帯が小学校になった後も正門として存続していた。しかし、昭和一六年の小学校改築に伴って現在の場所に移築された。

 大光寺霊廟(県指定文化財)

大光寺霊廟の写真

大光寺霊廟

 大光寺は足守藩主木下家の菩提寺で、第三代藩主利当(1603〜1669)が創建した。本堂の南側に東向きの霊廟がある。桁行三間、梁間二間で、単層入母屋造の桟瓦葺である。内部は外陣と内陣に仕切られており、その内外陣の壁寄りに霊牌壇を設け、正面に豊臣秀吉と正妻のねね(北政所)の霊牌をまつり、左右に歴代藩主の霊牌が配置されている。建築年代は元禄一二年(1699)頃と考えられる。

大光寺霊廟の図

大光寺霊廟(参考文献より引用)

 

位置

位置

 

見学 JR吉備線 岡山駅発 足守駅下車徒歩約4km

参考文献 巌津政右衛門『岡山の建築』日本文教出版株式会社 1967年
岡山市教育委員会『岡山県指定名勝近水園(吟風閣)保存修理工事報告書』 1997年

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