知足院古墳(ちそくいんこふん) (大崎三号墳)

 岡山市大崎にある。備中高松城北側にある三上山から南へのびる尾根上に位置する。周囲には後期古墳が50基前後集中しており、一大古墳群を形成している。そのなかで、本墳の規模は最も大きく、古墳群の中心的立場であったことがうかがえる。墳丘は径20mの円墳で、背後には幅3mほどの周濠がめぐる。石室全長は11m、玄室の長さ5.1m、同幅2.3m、羨道の長さ5.9m、同幅2mである。片袖式である。比較的大きな石材を用いており、吉備の三大巨石墳に次ぐクラスの古墳といえる。奥壁が3段積みであることから、総社市こうもり塚古墳よりも若干古い時期で、岡山市沢田大塚古墳と平行する時期と思われる。
 本墳は古代の賀陽郡に含まれており、おそらく吉備の有力な豪族である賀夜氏の古墳であると考えられ、南にある大崎廃寺の建立へ続くのであろう。大崎廃寺は発掘調査例もなく詳細な内容は不明だが、採集されている瓦から、吉備最古の古代寺院の1つであると推測される。

位置

 

見学

JR吉備線「備中高松」下車もしくは、備中高松駅→備中高松城址→大崎廃寺→知足院古墳→小盛山古墳→坂古田堂山古墳→備中高松駅 の一日散策コースもおすすめである。
知足院古墳周囲はお遍路道に沿って古墳がならんでおり、あたかも古墳博物館の様相を呈している。


参考文献 弘田和司ほか「岡山足守地域の地域史研究(2) 」『古代吉備』第16集 1994年

 

墳丘写真

石室写真

 

石室(参考文献より引用)

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