石の嫁ぎ先

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矢倉緑地公園

 平成12年に淀川と神崎川の河口に挟まれた矢倉海岸に緑地公園が出来ました。
 平成9年から始まったこの矢倉緑地の工事には犬島の山の石をすべて運んでしまうのではないかと思うほど多量の石が運ばれておりました。一度訪ねたいと思っておりましたが、今回大阪の中村石材工業(株)の西川社長さんとご一緒させて頂くことが出来ました。
 自然を守るために車の乗り入れが禁止されているために阪神西大阪線の福駅の近くに車を止め、歩行者と自転車の専用道の大野川緑道を歩いて公園を目指しました。
 爽やかな川風を受けて歩き始めると護岸の捨て石の中に犬島の石が見えました。「あ、犬島の石だ。」とカメラを向けると「こんなものじゃあないよ、もっとびっくりするような所ですよ。」と西川社長さん。30分位歩きやっと公園の入り口につきました。
 面積は2.4ヘクタールもあり、コンクリートを一切使わずに廻りの荒磯は全て自然石で築かれています。園内には3か所の大きな潮だまりがあり通水管でつながっており魚やカニが出入りをしています。ちょうど引き潮で海水が少なくなり海に帰り遅れたボラが3匹浅瀬を飛ぶようにして泳いでいました。
 海岸には赤みを帯びた犬島のさび石と若葉の緑の濃いさが目立ち始めた木立とのコントラストは実に素晴らしく、犬島の海岸を思い起こす様な風景です。
 大きくどっしりとして威厳のある石はやはり犬島産です。15トンから20トンもの石がぼんぼんと立っているのは圧巻です。
 地元の人たちが、自然を生かした公園を造ろうと長年要望を続けて出来あがったもので、干潟や潮だまり、芝生広場などがあり、磯の生き物や野鳥の観察が出来る市民の憩いの場所として賑わっています。
 ふと足下を見るとハマヒルガオやハマエンドウが芽吹き、かわいいピンクの花を咲かせています。石を運び出すときに犬島から一緒についてきて根付いたのでは無いかな? 何やらふとうれしくなりました。
 犬島の石は、明治30年代には大阪築港のために大量に切り出され大阪の繁栄の礎となり、今また、矢倉公園では自然を愛する市民の癒しの場所として多くの人々に親しまれていることに誇らしさを感じながらおいとましました。

矢倉海岸
潮だまり

Map

 

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