石の嫁ぎ先

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大阪城公園の大噴水

 地下鉄中央線の森の宮で下車しました。階段を登っていくと見慣れた犬島の花崗岩で石垣が積んであり、それはちょうど門のような役目をしています。大噴水はすぐに分かりました。大きなさび石が寄り添うように建っており、その回りは、二段の石積みで楕円形に噴水を守るように積んでいます。噴水の側にはベンチが置かれ人々は噴水を眺め、のんびりとくつろいでいます。
 大噴水は昭和31年に完成しました。私が驚いたのは噴水のおおきなさび石に江戸時代の時のような手彫りのノミ跡が付いています。よくぞこんな代物が多数残っていた物だ。貴重な物だと思いました。どこの山で残っていたのかと施工主の中村石材工業の中村部長にお聞きしたところ、大阪城の石垣の修復工事に使用した犬島石と同じ石材で、昔のノミ跡をわざわざ職人に掘らせたと分かり納得しました。
 大噴水のある大阪城公園は広さが約108ヘクタールという広大なものです。市民の憩いの場として親しまれ愛され、市民の公園としてスタートしたのは大正13年です。天守閣も市民の協力で再建され、全国からの観光客も多く、ジョギングコースもあり早朝などジョギングを楽しむ人々に喜ばれています。森林公園では170種類、19万本の木が植えられ結婚、入学、誕生記念に植樹した記念樹の森、市民の森、太陽の広場と別れ木々もすくすくと大きく成長して、夢を広げています。
 島で唯一石材業を続けていた方が平成12年に急死され、もう島では採掘は出来ないのかと心痛めておりましたが、この度取引のあった大阪の中村石材工業が跡を引き受けて石材所を続ける事になりほっとしている私です。大阪城の石垣の修復工事は毎年続けて行われ、今年も犬島産の石が使われる予定です。噴水の大きなノミ跡の目で大阪の市民の人々の安全を見守ってあげてね、とお願いして大阪城公園にお別れしました。

大阪城公園の大噴水

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