石の嫁ぎ先

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門入ダムのシンボル

 岡山駅からマリンライナーで坂出で下車。ここで輔野 晃さんが待っていてくれました。彼は犬島の丁場(東田石材)へ日本で一番大きいダイヤモンドワイヤソーという機械を入れた方です。
 これから会いにいくモニュメントは島ではじめてこの機械で制作した作品です。幅15m高さ4m奥行き5mまでの大きな石が工業用ダイヤモンドでなんとセンチ単位で切断出来るのです。
 輔野さんの車で高松市まで走り県道高松長尾大内線を20kmほど走ると、さぬき市寒川に着きました。そこから山道を2kmほど入った所に門入の郷はありました。しとしとと雨が降ってきました。だいぶ山の中へ入ったようで、空気が違います。どのような作品なのかドキドキと胸が高鳴ってきました。
 ダムで仕切られた貯水地の周りには自然を楽しめる記念公園が作られています。豊かな山々に囲まれた門入湖には大きな噴水があがってようこそと待っていてくれました。
 門入ダムの上にかかっている長い石の橋を渡るとさび石が見えてきました。あれだ!と分かり急いで近づきました。
 展望広場には、高さ4メートル幅6.5メートルの大きなアーチと一部ステンレスを組み込んだ列柱が建てられていました。
 「風の門」と名付けられ門入の郷の大地から天に向かって伸びる12本の石柱、空を見上げるアーチは、まさに地と空が一体となり伸びやかに空を仰いでいます。雨に濡れるのもかまわずしばらくボーと見とれていました。
 作品の素材の石は成人前の匂い立つピカピカの娘のつやつやの肌のようです。しっとりとした雨の中でさび石はピンクに輝いています。
 制作者は庵治町の新進の石彫家山田和弘氏(1954年生)です。門入ダム完成記念モニュメントとして平成11年2月に誕生しました。石材をまるでアメ細工のように丸く曲げています。真ん中の継ぎ目の石でも1トンはあると聞きました。
 石をこんな形にデザインした山田先生の感性も息を飲みますが、このような大きな美しい石を掘り出した我が島を誇りに思い、立派に成長した娘を見る思いです。
 制作時、山田先生は島の丁場に出向き、自ら大きな岩に墨を入れダイヤモンドワイヤソーでアーチの部分の形を作りました。この機械がなければ気が遠くなるほど時間がかかることでしょう。
 また空が真っ青な時この風の門とおしゃべりをしたいなと思いながら、これなら地域の方に何百年も愛されると予感しながらお別れをしました。

門入ダムのシンボル

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