石の嫁ぎ先

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大西静城先生の句碑

 丸亀市土器町の泉聖天教本部の庭園の一角にある大西先生の句碑を訪ねました。施工主である浜口石材商会の浜口社長に場所をお尋ねしましたら、車で案内して下さいました。旧国道11号線から山道を200メートルほど入った小高い所にありました。
 境内には桜の木がたくさんあり、満開の頃はさぞ美しいだろうと思いながら奥に進んで行くと、句碑が静かに建っていました。句碑の大きさはちょうど私の背と同じくらいの少し丸みを帯びた自然石です。
 はかま石(台座)はなく昔からそこにあったように自然に置かれています。「法悦や、海のかなたへ、はなふぶき」と刻まれ、さび石で犬島産の石に間違いありません。
 ずいぶん古い物のように思われます。岩肌にそっと触れてみました。古いノミ跡があるではありませんか。いぶかりながら、裏に回って見ると建立は平成元年4月4日となっています。まだ年数は経ていません。
 浜口真由美夫人にお尋ねすると、「あの石は大阪城再建の石垣に使われる予定だった残念石だと思うのよ。およそ400年位も犬島の山に埋まっていたのを見つけたのよ。大西先生の句碑のお話があった時これだ。と思ったわ。」と上気しながら教えて下さいました。
 なるほどと合点がいきました。「除幕式の時は本当に桜ふぶきで見事でした。」とのこと。真由美夫人は30数年前に嫁いで来てから石の仕事に携わりその頃から犬島のさび石の美しさに魅せられているとか。
 昔は石といえば白い花崗岩が良い石で模様や色のあるさび石は値打ちのない石でしたが今は逆転しています。さび石の模様は同じ物がなく素材だけで表情が豊かな作品となります。さび石のお話を伺っているといつまでもお話がはずみ心がうきうきしてきます。
 大西静城先生は大正10年、丸亀市で生まれました。現在とてもお元気で若い感性を持たれ香川県内約100人の会員数の通信俳句会の会長をしておられます。 平成14年には現代俳句全国大会賞(月の夜の潜水艦に蓋があり)を受賞され、全国に香川の大西静城の名を高められました。現代俳句協会において「俳句を語る」と題してユーモアを交えて講演され好評でした。草苑香川支部長など多くの役もこなしておられます。
 この場所からは丸亀城、坂出工業地帯が見渡せるとても景色の良い場所です。犬島石と大西先生のご縁に感謝し、残念石も生き返り、大西先生の作品同様皆様に愛され親しまれますようにお願いしながらおいとましました。

大西静城先生の句碑

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